足袋のかかと側についている留め金具「こはぜ(鞐・甲馳)」。実はこのこはぜ、どれも同じではなく、ものによって「枚数」が違うことをご存じでしょうか。
一般的には4枚や5枚のものが多く見られますが、「なぜ枚数に違いがあるのか」「どれを選べばいいのか」迷ってしまうことも。実は、こはぜの枚数が違うのにはきちんとした理由があり、選ぶ枚数によって「適したシーン(TPO)」や「履き心地・歩きやすさ」が大きく変わってきます。
今回は、足袋のこはぜの枚数が異なる理由と、シーンに合わせた選び方を分かりやすく解説します。
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足袋の「こはぜ(鞐)」とは?役割と歴史を解説

こはぜ(鞐・甲馳)とは、足袋の履き口部分についているツメ状の留め金具のことです。反対側にある掛け糸(受け糸)に引っ掛けて留める構造になっており、足袋を足首にしっかりフィットさせてズレや脱げを防ぐ役割があります。
実はこのこはぜの歴史は意外と浅く、現在のような金属製のこはぜが付いた足袋が広く普及したのは明治期のことです。それ以前は革製や木綿の足袋を紐で結ぶ形式が一般的でした。明暦の大火(1657年)を機に革が高騰して木綿足袋が普及。その後こはぜが登場し、明治期に定着しました。ちなみに、明治期までのこはぜは、象牙や骨、真鍮などで作られたものが主流だったそうです。
【TPO別】こはぜの枚数の違いと選び方
実はこはぜの枚数に対して明確にTPOが決められているわけではありません。ただ、使われるシーンや地域によって好まれる枚数はあります。
もっとも一般的に使われているのが4枚。普段着や仕事で着用する人はほとんどがこちらを使用しています。ちなみに、関東では着物の裾から少し肌が見えた方が粋だという考えから4枚が主流ですが、逆に関西は肌を見せない奥ゆかしさを良しとするため、5枚が好まれることも多いそうです。
歌舞伎や日本舞踊の舞台では、正座や激しい所作の際に着物の裾から足首の素肌が見えないよう、丈が高くフィット感のある5枚こはぜが多く用いられます。また、礼装・フォーマルシーンでは肌を見せない奥ゆかしさが重んじられることに加え、「4」が「死」を連想させて縁起が悪いとされることから、慶事では5枚こはぜを選ぶのが一般的です。
さらに、農作業やお祭りなどで履く「地下足袋(じかたび)」には、7枚~12枚のこはぜが付いているものも多く見られます。こはぜの枚数によって脚へのフィット感がかなり変わってくるので、用途に応じた使い分けが必要です。
初心者や短時間なら「こはぜなし(ソックス型)」も手軽

「留め具を引っ掛けるのが面倒」「足首が締め付けられるのが苦手」という方には、靴下のようにスポッと履けるソックス足袋がおすすめ。
靴下のようにサッと履くだけなので、脱ぎ履きも楽々。ただし、フォーマルな結婚式やお茶席ではマナー違反となる場合があるため、普段使いにとどめておいた方が無難です。
足袋の素材の種類と特徴|綿・ストレッチ・別珍・レースの選び方
足袋の履き心地は、こはぜの枚数だけでなく素材によっても変わります。
綿100%(キャラコ・ブロード)
足袋の定番素材。足元がピシッと美しく決まるため、フォーマルからカジュアルまで幅広く着用できます。
ストレッチ素材(ナイロン・ポリ混)
足の形に合わせて柔らかく伸縮するため、正座をしても足首が締め付けられず、長時間の歩行でも疲れにくいのが魅力。普段のお出かけや足袋に慣れていない初心者に特におすすめです。
ベルベット・別珍(べっちん)
毛足が短く滑らかな光沢感がある別珍(ベルベット調)素材は、秋冬の寒い季節に大活躍。生地が厚手で足元からの冷えを防ぎ、見た目にもあたたかみとレトロな可愛らしさを演出できます。普段着の着物やアンティーク着物と相性抜群。
レース足袋
透け感のあるレース素材の足袋は、春先〜初秋にかけてのカジュアルなお出かけにぴったりです。通気性が良く蒸れにくいうえ、足元を華やかでおしゃれに見せてくれます。小紋や紬、浴衣に合わせて足元を軽やかに見せたいときに。
こはぜに関するよくある質問
最後に、足袋のこはぜについてよくある質問をまとめました。
Q. こはぜがキツくて足首が痛いときはどうすればいい?
A. 受け糸(掛ける紐)が2列ある足袋の場合、外側の列に掛けることで少し緩められます。
甲高・幅広の方は、ストレッチ足袋を選ぶと痛みが大幅に軽減されます。
Q. こはぜを留める順番は?
A. 足首側ではなく、つま先側(下)から上に向かって順番に留めていくのがおすすめ。
たるみが出ずきれいに留められます。
まとめ
枚数によって履き心地が大きく変わってくるこはぜ。シーンや好みに応じて、自分にぴったりの足袋で快適に和装を楽しみましょう!


